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江戸後期、瀬戸で盛んに焼かれた磁器の植木鉢「尾張鉢」を集めた企画展が瀬戸市立図書館で開かれている。約20点は全て、陶芸家の古橋尚(たかし)さん(71)=名古屋市南区=のコレクション。古橋さんは「青と白のコントラストの美しさを見てもらいたい」と見どころを語る。23日まで。
尾張鉢は、青く発色する呉須を透明釉(ゆう)に混ぜた「瑠璃釉」と、素地の白さを生かした透明釉が織りなす立体感が魅力。鳥や竹などの木型で作った土を貼り付けたり、側面を削ったりしてつくり上げた奥行きある造形を楽しむことができる。
10年ほど前から収集を始めた古橋さんによると、江戸時代は園芸ブームが顕著に。尾張鉢は高級品として人気で当時の浮世絵にも描かれているが、「瀬戸産であるという認知度は、あまり高くない」と言う。
今回の展示は、古橋さんらが昨年、同市昭和区で開いた展示会に注目した同館の声かけで実現した。竹やスズメ、獅子など装飾はバラエティー豊か。伊勢物語の在原業平が現在の知立を訪れた際に歌に詠んだカキツバタを連想させる大型の鉢もある。また、花びらの縁まで精巧に成形されたボタンの文様からは、木型ではなく、へらで丁寧に形を作ったことが分かる。
会場には、展示品によく似た尾張鉢が描かれた浮世絵のパネルも用意。古橋さんは「柄も豊富で、収集していても楽しい。これだけ一度に見られる機会は珍しい」と話している。21日は午前11時から午後4時ごろまで会場にいるという。